こんにちは、香料業界で10年以上働いているフィグです。
香料を使う理由は何でしょうか?
これまで強化と補填(ほてん)を説明しましたが、今回は3つ目の理由、追加・付加について見てみましょう。
- 強化 :より香りを強くします
- 補填(ほてん):失われた香りを補います
- 追加・付加 :新たに香りを加えます
- マスキング :好ましくない臭いを隠します
目次
追加・付加 ~新たに香りを加える~
商品そのもの自体には香りはなくても、新たな香りを加えることで、香りを豊かにさせます。
食品と日用品のどちらにもよく使われています。
まずは、食品の場合から見ていきましょう。
無果汁ジュース
コンビニやスーパーで、果汁0%のジュースを見つけることができます。これにはフレーバーが大きく役立っています。
砂糖水にオレンジフレーバーを数滴いれて、オレンジ色の色素を加えると、果汁を使っていないのに、オレンジジュースになります。

砂糖水 + オレンジフレーバー + 色素
→ 無果汁オレンジジュース
※色素(しきそ):色を付ける材料
同じように、砂糖水にグレープフレーバーを加えて、紫色の色素を加えると、グレープジュースになります。

砂糖水 + グレープフレーバー + 色素
→ 無果汁グレープジュース
フレーバーフォーター
フレーバーウォーターとは、フレーバーを加えますが、色素を加えない飲み物です。

最近、流行っており、見た目は透明な水です。
砂糖水にオレンジフレーバーを加えて、無色透明なオレンジジュースになります。

砂糖水 + オレンジフレーバー
→ 透明な無果汁オレンジジュース
フレーバーをグレープフレーバーに変えたら、無色透明なグレープジュースになります。

砂糖水 + グレープフレーバー
→ 透明な無果汁グレープジュース
見た目は透明ですが、あたかも果汁ジュースを飲んでいるような感覚になります。
そのため、美味しさと意外さのどちらも楽しむことができます。

外国人が水と間違えて買ってしまい、飲んで驚くこともあるそうです。
フレーバーアイス・フレーバーシロップ
バニラアイスに本物のミントは入れずに、ミントフレーバーを加えることで、ミントバニラアイスになります。

バニラアイス + ミントフレーバー
→ ミントバニラアイス
また、シロップにイチゴ果汁は入れずに、ストロベリーフレーバーを加えるとイチゴシロップになります。

かき氷シロップ + ストロベリーフレーバー
→ イチゴかき氷
(ストロベリーフレーバーはイチゴ本来の香りではない!?こちらが気になる場合は以下の記事をどうぞ)
次に、日用品の場合を見てみましょう。
洗剤
洗剤の洗剤能力に、例えば、花の香りを加えることで、服を着た時に花の香りを楽しむことができます。

洗剤成分 + フレグランス
→ 服を着た時によい香りがする洗剤
香水
水とアルコールにフレグランスを加えることで、香水になります。

まさに香料が主役の商品です。

水 + アルコール + フレグランス
→ 魅力的な香水
ガス
危険を知らせるために、香料を使用することがあります。
※香料業界では付臭(ふしゅう)と言います。
プロパンガスや都市ガス自体の香りはそれほど強くありません。そのため、ガスが漏れた時に気がつかずに火をつけてしまうと、引火してとても危ないです。
そこで、すぐにガス漏れを気が付けられるように、人間が感じやすい香りが加えられています。

ガス + フレグランス
→ すぐに気が付く匂いのあるガス
この時の人間が感じやすい香りは、匂いと言ったほうが良いかもしれません。

人が嫌だと感じるにおいです。
(きつい香りの成分については別の機会に紹介します)
まとめ
香料を使う3つ目の理由
- 追加・付加 :香りがなかったものに新たに香りを加える
- 危険を知らせるために、ガスに香料を使用する
次は、「マスキング」について解説します。