こんにちは、香料業界で10年以上働いているフィグです。
グレープフルーツの精油(グレープフルーツオイル)は天然品のため、入手できる数量に限りがあります。
グレープフルーツオイルの主な産地はどこでしょうか?
それは南アフリカ、アメリカです。
2020年頃まではアメリカが主な産地でしたが、減少傾向にあります。
世界のグレープフルーツ果実の生産量や用途を知ることから始め、グレープフルーツオイルの産地を知っていきましょう。
オイルの生産量を知るには、果実の生産量だけではなく、加工用にどのくらい消費されているかを知ることが重要です。
目次
1.収穫時期はいつ?
図1 収穫時期
1年の中でいつが収穫時期かを示したものをクロップカレンダーといい、緑色のところが収穫する時期を表します。
- アメリカ:1月~6月
- 南アフリカ:3月~9月
まずは、世界のグレープフルーツ(果実)の生産量を見てみましょう。
2.世界の生産量は?
生産量の推移は増加?減少?
図2 世界の生産量推移 [※1]
世界の生産量:約700万トン
世界の生産量はやや増加しています。その主な原因は中国の生産量が増加しているからです。
しかし、アメリカの生産量は減少しています。
図3 アメリカの生産量推移 [※1]
2007年に約150万トンあった生産量が2023年には30万トンまで減少しています。(約1/5まで減少しています。)
アメリカの生産量を注視したのは、グレープフルーツオイルの生産量に影響しているためです。
次に各地域における生産量の割合を見てみましょう。
生産量が多い国はどこ?
図4 世界の生産量における地域別割合 [※1]
順位 | 国・地域 | 割合 |
1 | 中国 | 76% |
2 | メキシコ | 6% |
3 | 南アフリカ | 6% |
4 | アメリカ | 5% |
5 | トルコ | 3% |
生産量が多い国は中国です。中国だけで世界の約75%を占めています。
地図とともに生産量を見てみましょう。
地図で見る生産量の多い国はどこ?
図5 世界の生産量における地域別割合(地図) [※1]
中国のほかの産地として、北アメリカ(アメリカとメキシコ)とアフリカ南部にあります。
3.グレープフルーツの主な用途は何?
図6 果実の用途先
グレープフルーツの用途は青果用と加工用に分かれます。
- 青果用(市場でまるごと売る用です)
- 加工用(ジュースやオイル用です)
そして、果実の主な用途は青果用に使われます。
世界では青果用にどれだけ消費されているか見てみましょう。
世界で青果用の消費量は増加?減少?
図7 世界の消費量推移(青果用) [※1]
世界の消費量(青果用):約600万トン
青果用の消費量は、2020年まで増加し、それ以降は横ばいです。
主に中国の消費量が増加しています。
次に各地域における消費量の割合を見てみましょう。
青果用として消費量が多い国はどこ?
図8 世界の青果用消費量における地域別割合 [※1]
順位 | 国・地域 | 割合 |
1 | 中国 | 81% |
2 | メキシコ | 7% |
3 | EU | 5% |
4 | アメリカ | 3% |
5 | ロシア | 1% |
青果用として消費量が多い国は中国です。中国だけで世界の80%を占めています。
地図とともに消費量を見てみましょう。
地図で見る消費量の多い国はどこ?(青果用)
図9 世界の青果用消費量における地域別割合(地図) [※1]
中国の80%と北アメリカ(アメリカ、メキシコ)の10%を合わせると、90%の消費量を占めています。
日本の消費量は1%ぐらいです。
EUはEUでの生産量より多く消費しているので、他から輸入しています。
もう1つの用途である加工用を見てみましょう。
4.グレープフルーツの副次的な用途は何?
図10 果実の用途先
果実の副次的な用途として加工用に使われます。
- 主産物:ジュース
- 副産物:オイル
加工用の果実は、主にジュースを得るために使用され、ジュースを作るついでに、皮からオイル(精油、エッセンシャルオイル)が得られます。
ジュースがメインで、オイルは副産物です。
優先順位は「青果用果実>ジュース>オイル」です。
ジュースを飲みたい人(需要)が減ることは、ジュースの生産量が減り、オイルの生産量も減ることにつながります。
青果用の果実は加工用には使えないことがポイントです。そのため、グレープフルーツオイルの生産量を知りたいときは、加工用にどれだけ消費されたかを知る必要があります。
世界では加工用にどれだけ消費されているか見てみましょう。
世界で加工用の消費量は増加?減少?
図11 世界の消費量推移(加工用) [※1]
世界の消費量(加工用):約40万トン
加工用においては、過去と比較すると世界の消費量は減少しています。その主な原因はアメリカの消費量が減少しているからです。
図12 アメリカの消費量推移(加工用) [※1]
2007年に約80万トンだった消費量が2023年には10万トンまで減少しています。(約1/8まで減少しています。)
次に各地域における消費量の割合を見てみましょう。
加工用として消費量が多い国はどこ?
図13 世界の加工用消費量における地域別割合 [※1]
順位 | 国・地域 | 割合 |
1 | 南アフリカ | 44% |
2 | アメリカ | 25% |
3 | イスラエル | 18% |
4 | 中国 | 10% |
5 | EU | 2% |
加工用として消費量が多い国は南アフリカです。アメリカの消費量は減少していますが、約25%を占めていますので、主要な国であることは変わりません。
地図とともに消費量を見てみましょう。
地図で見る消費量の多い国はどこ?(加工用)
図14 世界の加工用消費量における地域別割合(地図) [※1]
北アメリカとアフリカ南部で世界の約半分以上を占めています。
青果用の消費量は中国が多く、加工用の消費量は南アフリカが多いです。生産されたグレープフルーツ果実を青果用と加工用のどちらの用途で消費するかは、国や地域によって異なります。
それでは、各国・地域における生産量のうち青果用と加工用の消費割合を見てみましょう。
5.各国・地域の青果用と加工用に使用する割合は?
図15 国・地域の生産量における青果用と加工用の消費量割合 [※1]
円グラフにおいて、色は用途の割合を示し、円の大きさは生産量を表しています。
オレンジ :青果用
ブルー :加工用(ジュース、オイル)
円の大きさ :生産量
中国とEUは生産したグレープフルーツをほぼ青果用に使っています。アメリカとイスラエル、南アフリカは加工用の割合が約40~50%です。
(中国の生産量が他の国・地域と比べて大きいため、中国の円グラフの大きさを1/5にしています)
6.まとめ
- グレープフルーツオイルの主な産地は南アフリカとアメリカ
- 世界の生産量は減少(特にアメリカの生産量が減少)
- グレープフルーツ果実は青果用と加工用に分けられる
- 青果用の果実は加工用には使えない
- グレープフルーツオイルは加工用から得られる
- 加工用の割合が多い国はアメリカとイスラエル、南アフリカであり約40~50%