こんにちは、香料業界で10年以上働いているフィグです。
レモンやライムの精油(レモンオイル・ライムオイル)は天然品のため、入手できる数量に限りがあります。
レモンオイル・ライムオイルの主な産地はどこでしょうか?
主な産地は以下の通りです。
- レモン:アルゼンチン、イタリア、アメリカ
- ライム:メキシコ
レモン・ライム果実の生産量や用途を知ることから始め、レモンオイル・ライムオイルの産地を知っていきましょう。

レモンとライムの統計が一緒になったデータを紹介しています。
目次
1.収穫時期はいつ?
レモン

図1 レモンの収穫時期
1年の中でいつが収穫時期かを示したものをクロップカレンダーといい、緑色のところが収穫する時期を表します。
- アメリカ :2月~4月
- アルゼンチン:5月~9月
- イタリア :5月~7月
ライム

図2 ライムの収穫時期
- メキシコ:4月~9月
- アメリカ:6月~12月
まずは、世界のレモン・ライム自体の生産量を見てみましょう。
2.世界の生産量は?
生産量の推移は増加?減少?

図3 世界の生産量推移 [※1]
世界の生産量:約900万トン
世界の生産量はやや増加傾向です。2006/07年と比べて約50%増加しています。増加傾向にある国はメキシコ、アルゼンチン、トルコです。
次に各地域における生産量の割合を見てみましょう。
生産量が多い国はどこ?

図4 世界の生産量における地域別割合 [※1]
順位 | 国・地域 | 割合 |
1 | メキシコ | 31% |
2 | アルゼンチン | 18% |
3 | EU | 16% |
4 | トルコ | 15% |
5 | アメリカ | 9% |
生産量が多い国はメキシコです。メキシコだけで世界の31%を占め、上位4つの国・地域で約80%を占めています。
地図とともに生産量を見てみましょう。
地図で見る生産量の多い国はどこ?

図5 世界の生産量における地域別割合(地図) [※1]
北アメリカ(アメリカとメキシコ)と南アメリカ(アルゼンチン)の生産量は世界の半分以上(58%)を占めます。
3.レモン・ライムの主な用途は何?

図6 果実の用途先
オレンジの用途は青果用と加工用に分かれます。
- 青果用(市場でまるごと売る用です)
- 加工用(ジュースやオイル用です)
そして、果実の主な用途は青果用に使われます。
世界では青果用にどれだけ消費されているか見てみましょう。
世界で青果用の消費量は増加?減少?

図7 世界の消費量推移(青果用) [※1]
世界の消費量(青果用):約650万トン
青果用においては、2006/07から消費量は増加しています。
次に各地域における消費量の割合を見てみましょう。
青果用として消費量が多い国はどこ?

図8 世界の青果用消費量における地域別割合 [※1]
順位 | 国・地域 | 割合 |
1 | メキシコ | 27% |
2 | EU | 25% |
3 | アメリカ | 20% |
4 | トルコ | 10% |
5 | ロシア | 3% |
青果用として消費量が多い国はメキシコとEUです。上位3つの国・地域で70%以上を占めています。
地図とともに消費量を見てみましょう。
地図で見る消費量の多い国はどこ?(青果用)

図9 世界の青果用消費量における地域別割合(地図) [※1]
北アメリカ(アメリカ、メキシコ)の生産量だけで世界の約半分を占めます。

アメリカとEUは自国での生産量以上に消費しているので、他国から輸入しています。
もう1つの用途である加工用を見てみましょう。
4.レモン・ライムの副次的な用途は何?

図10 果実の用途先
果実の副次的な用途として加工用に使われます。
- 主産物:ジュース
- 副産物:オイル
加工用の果実は、主にジュースを得るために使用され、ジュースを作るついでに、皮からオイル(精油、エッセンシャルオイル)が得られます。

ジュースがメインで、オイルは副産物です。
優先順位は「青果用果実>ジュース>オイル」です。
ジュースを飲みたい人(需要)が減ることは、ジュースの生産量が減り、オイルの生産量も減ることにつながります。
青果用の果実は加工用には使えないことがポイントです。そのため、レモンオイルやライムオイルの生産量を知りたいときは、加工用にどれだけ消費されたかを知る必要があります。
世界では加工用にどれだけ消費されているか見てみましょう。
世界で加工用の消費量は増加?減少?

図11 世界の消費量推移(加工用) [※1]
世界の消費量(加工用):250万トン弱
加工用において、消費量の推移は増減があり、不安定です。

2022/23のように前年より消費量が少ない場合、オイルの供給が少なくなり、価格が高騰します。
次に各地域における消費量の割合を見てみましょう。
加工用として消費量が多い国はどこ?

図12 世界の加工用消費量における地域別割合 [※1]
順位 | 国・地域 | 割合 |
1 | アルゼンチン | 60% |
2 | EU | 12% |
3 | メキシコ | 11% |
4 | アメリカ | 11% |
加工用として消費量が多い国はアルゼンチンです。アルゼンチンだけで世界の60%を占めています。
統計上はレモンとライムの合計なので、レモンとライムに分けた場合、主な国は以下になります。
- レモン:アルゼンチン、イタリア、アメリカ
- ライム:メキシコ
地図とともに消費量を見てみましょう。
地図で見る消費量の多い国はどこ?(加工用)

図13 世界の加工用消費量における地域別割合(地図) [※1]
南北アメリカ(アルゼンチン、メキシコ、アメリカ)で世界の約80%を占めています。
青果用の消費量はメキシコが多く、加工用の消費量はアルゼンチンが多いです。生産された果実を青果用と加工用のどちらで消費するかは、国や地域によって異なります。
それでは、各国・地域における生産量のうち青果用と加工用の消費割合を見てみましょう。
5.各地域の青果用と加工用に使用する割合は?

図14 国・地域の生産量における青果用と加工用の消費量割合 [※1]
円グラフにおいて、色は用途の割合を示し、円の大きさは生産量を表しています。
オレンジ :青果用
ブルー :加工用(ジュース、オイル)
円の大きさ :生産量
トルコとメキシコ、EUは青果用の割合が大きく、アメリカは加工用の割合が約40%です。一方、アルゼンチンは加工用の割合が大きく、80%を超えています。
6.まとめ
レモンオイル・ライムオイルの主な産地
- レモン:アルゼンチン、イタリア、アメリカ
- ライム:メキシコ
- 世界の生産量は増加(2022/23は生産量が減少)
- レモン・ライム果実は青果用と加工用に分けられる
- 青果用の果実は加工用には使えない
- レモンオイル・ライムオイルは加工用から得られる
- 国・地域で青果用と加工用の割合が異なり、加工用に使用される割合が大きい国はアルゼンチンであり、その割合は約80%である