こんにちは、香料業界で10年以上働いているフィグです。
マンダリン・タンジェリンの精油(マンダリンオイル・タンジェリンオイル)は天然品です。
マンダリンオイル・タンジェリンオイルの主な産地はどこでしょうか?
主な産地は以下の通りです。
- マンダリンオイル:イタリア、スペイン、アフリカ、ブラジル
- タンジェリンオイル:アメリカ、アフリカ
マンダリンはミカンのことです。
世界のマンダリン・タンジェリン果実の生産量や産地を知っていきましょう。
イタリアが含まれるEUやアメリカの生産量や加工用の消費量に注目です。
目次
1.収穫時期はいつ?
図1 収穫時期
1年の中でいつが収穫時期かを示したものをクロップカレンダーといい、緑色のところが収穫する時期を表します。
- ブラジル:2月~5月
- イタリア:1月~3月
- 日本:10月~3月
まずは、世界のマンダリン・タンジェリン(果実)の生産量を見てみましょう。
2.世界の生産量は?
生産量の推移は増加?減少?
図2 世界の生産量推移 [※1]
世界の生産量:約3,800万トン
世界の生産量は増加しています。その主な原因は中国の生産量が増加しているからです。
しかし、EUの生産量はやや減少しています。
図3 EUの生産量推移 [※1]
約350万トンあった生産量が2023年には300万トンを下回っています。
次に各地域における生産量の割合を見てみましょう。
生産量が多い国はどこ?
図4 世界の生産量における地域別割合 [※1]
順位 | 国・地域 | 割合 |
1 | 中国 | 71% |
2 | EU | 7% |
3 | トルコ | 7% |
4 | モロッコ | 3% |
5 | 日本 | 2% |
生産量が多い国は中国です。中国だけで世界の約70%を占めています。
地図とともに生産量を見てみましょう。
地図で見る生産量の多い国はどこ?
図5 世界の生産量における地域別割合(地図) [※1]
棒グラフは生産量の大きさ、カッコ内の%は世界における生産量比率を示します。
中国のほかの産地として、ヨーロッパ、北アフリカがあります。
3.マンダリン・タンジェリンの主な用途は何?
図6 果実の用途先
マンダリン・タンジェリンの用途は青果用と加工用に分かれます。
- 青果用(市場でまるごと売る用です)
- 加工用(ジュースやオイル用です)
そして、果実の主な用途は青果用に使われます。
マンダリン・タンジェリンの加工用ではほとんどがジュースの生産に使われ、オイルの生産に使われることは少ないです。
オレンジの加工ではジュースと同時にオイルも生産することが多いです
世界では青果用にどれだけ消費されているか見てみましょう。
世界で青果用の消費量は増加?減少?
図7 世界の消費量推移(青果用) [※1]
世界の消費量(青果用):約3,500万トン
青果用の消費量は、2007年以降増加しており、主に中国における消費量が増加しています。
生産量の増加とともに、青果用の消費量も増えています。
次に各地域における消費量の割合を見てみましょう。
青果用として消費量が多い国はどこ?
図8 世界の青果用消費量における地域別割合 [※1]
順位 | 国・地域 | 割合 |
1 | 中国 | 71% |
2 | EU | 8% |
3 | トルコ | 4% |
4 | アメリカ | 3% |
5 | ロシア | 3% |
青果用として消費量が多い国は中国です。中国だけで世界の約70%を占めています。
地図とともに消費量を見てみましょう。
地図で見る消費量の多い国はどこ?(青果用)
図9 世界の青果用消費量における地域別割合(地図) [※1]
棒グラフは消費量(青果用)の大きさ、カッコ内の%は世界における消費量の比率を示します。
果実の生産量の多い国(中国、EU、トルコ)は青果用としての消費量も多いです。
日本の消費量は世界の2%です。
EUはEUでの生産量より多く消費しているので、他から輸入しています。
もう1つの用途である加工用を見てみましょう。
4.マンダリン・タンジェリンの副次的な用途は何?
図10 果実の用途先
果実の副次的な用途として加工用に使われます。
- 主産物:ジュース
- 副産物:オイル
加工用の果実は、主にジュースを得るために使用され、ジュースを作るついでに、皮からオイル(精油、エッセンシャルオイル)が得られます。
ジュースがメインで、オイルは副産物です。
優先順位は「青果用果実>ジュース>オイル」です。
ジュースを飲みたい人(需要)が減ることは、ジュースの生産量が減り、オイルの生産量も減ることにつながります。
青果用の果実は加工用には使えないことがポイントです。そのため、オイルの生産量を知りたいときは、加工用にどれだけ消費されたかを知る必要があります。
世界では加工用にどれだけ消費されているか見てみましょう。
ジュースに加工しても、オイルに加工しないこともあります。
世界で加工用の消費量は増加?減少?
図11 世界の消費量推移(加工用) [※1]
世界の消費量(加工用):約140万トン
加工用においては、過去と比較すると世界の消費量はやや減少しています。その主な原因はEUの消費量が減少しているからです。
図12 EUの消費量推移(加工用) [※1]
2007年に約70万トンだった消費量が2023年には20万トンまで減少しています。
次に各地域における消費量の割合を見てみましょう。
加工用として消費量が多い国はどこ?
図13 世界の加工用消費量における地域別割合 [※1]
順位 | 国・地域 | 割合 |
1 | 中国 | 43% |
2 | アメリカ | 19% |
3 | EU | 15% |
4 | アルゼンチン | 6% |
5 | 日本 | 5% |
加工用として消費量が多い国は中国です。中国、アメリカ、EUを合わせると世界の約75%を占めます。
日本もですが、中国はジュースのために加工しており、オイルのために加工していないです。
地図とともに消費量を見てみましょう。
地図で見る消費量の多い国はどこ?(加工用)
図14 世界の加工用消費量における地域別割合(地図) [※1]
棒グラフは消費量(加工用)の大きさ、カッコ内の%は世界における消費量の比率を示します。
アジアで世界の約半分を占めています。
中国の消費量が多いですが、アメリカにおける消費量が多いことに注目です。生産されたマンダリン・タンジェリン果実を青果用と加工用のどちらの用途で消費するかは、国や地域によって異なります。
それでは、各国・地域における生産量のうち青果用と加工用の消費割合を見てみましょう。
5.各国・地域の青果用と加工用に使用する割合は?
図15 国・地域の生産量における青果用と加工用の消費量割合 [※1]
円グラフにおいて、色は用途の割合を示し、円の大きさは生産量を表しています。
オレンジ :青果用
ブルー :加工用(ジュース、オイル)
円の大きさ :生産量
どの国も生産したマンダリン・タンジェリンを主に青果用に使っています。アメリカとアルゼンチンは加工用の割合が約20~30%です。
(中国の生産量が他の国・地域と比べて大きいため、中国の円グラフの大きさを1/5にしています)
6.まとめ
- マンダリンオイルの主な産地はイタリア
- タンジェリンオイルの主な産地はアメリカ
- 世界の生産量は増加(特に中国にて増加)
- 果実は青果用と加工用に分けられる
- 青果用の果実は加工用には使えない
- オイルは加工用から得られる
- 加工用の割合が多い国はアメリカとアルゼンチンである