こんにちは、香料業界で10年以上働いているフィグです。
香料を表示するルールは何でしょうか?
商品の原材料に香料が書いてありますが、表示する順番にはルールがあります。
使用した重量の割合が高い順に表示されるので、割合の低い香料は後ろに表示されます。
目次
食品
香料の表示は後ろに見られます。
果糖ぶどう糖液糖は液状の糖であり、甘いですよ。
食品では、香料は添加物に分類されています。
添加物とは何でしょうか?
食品衛生法における添加物の定義は以下のように記載されています。(具体例を見た方が分かりやすいので、読み飛ばしてOKです)
添加物とは、食品の製造の過程において又は食品の加工若しくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によつて使用する物をいう。
(食品衛生法 第4条第2項)
具体的な添加物の役割を見てみましょう。
添加物の役割 | 例 |
1.食品の製造や加工に不可欠なもの | 豆腐の凝固剤 中華麺のかんすい など |
2.食品の腐敗や変質を防止するもの | 保存料 酸化防止剤 など |
3.食品の外観、状態、風味等を向上させるもの | 着色料 安定剤 香料 など |
4.食品の栄養価を高めるもの | ビタミン アミノ酸 ミネラル など |
香料は3番目の「食品の外観、状態、風味等を向上させるもの」です
次に、添加物の表示制度について見てみましょう。
添加物は、使用した重量の割合の高い順に表示されており、その表示方法は大きく次の3つに分類されています。
●物質名(その物質名を表示する。)
※物質名は、定められた簡略名(例:塩化カルシウム→塩化 Ca)や、類別名(例:香辛料抽出物→香辛料、スパイス)による表示も認められています。●用途名(使用の目的・用途を併せて表示する。)
例:甘味料(キシリトール)、着色料(β-カロテン)、保存料(ソルビン酸)等●一括名(同様の機能・効果を有するものを一括表示する。)
消費者庁 知っておきたい食品の表示(令和5年3月版・消費者向け)
例:香料、酸味料、pH 調整剤、乳化剤等
食品の中でフレーバー成分はどのくらいでしょうか?
食品(米と豚バラ肉)の成分割合を見てみましょう。
米 | 豚バラ肉 | |
水分 | 60% | 49.4% |
タンパク質 | 2.5% | 14.4% |
脂質 | 0.3% | 35.4% |
炭水化物 | 37.1% | 0.1% |
亜鉛 | 0.0006% | 0.0018% |
ビタミンB1 | 0.00002% | 0.00051% |
フレーバー成分は0.0002~0.03%ぐらいであり、タンパク質や脂質と比べると極めて微量ですが、食品を特徴づける物質としての存在感は大きいです。
具体的に、食品に占めるフレーバーの割合を以下に示します。
フレーバー成分の割合 | |
オレンジ果汁 | 0.001~0.005% |
温州ミカン果汁 | 0.0002% |
リンゴ果汁 | 0.001~0.002% |
緑茶(葉) | 0.02% |
マツタケ | 0.008~0.015% |
化粧品
化粧品においても、香料の表示は後ろの方にあることがわかります。
化粧品では、以下に定められています。
成分名の記載順序は、製品における分量の多い順に記載する。ただし、1%以下の成分及び着色剤については互いに順不同に記載して差し支えない。
厚生労働省 化粧品の全成分表示の表示方法等について 平成13年03月06日 医薬監麻発第220号 医薬審発第163号
香料は1%以下であることが多いので、順不同のグループに入ります。
1%以下は順番を自由に決めて良いので、メーカーは表示する順番を工夫することで、イメージアップにつなげています。エキスのほうがイメージが良いなら、前の部分に○○○エキスと書きます。
表記例:……○○○エキス、△△△エキス……トコフェロール、フェノキシエタノール……
まとめ
商品の原材料には、表示する順番のルールがあります。
使用した重量の割合が高い順に表示され、割合の低い香料は後ろに表示されます。
香料はどれくらい加えられるのでしょうか?
<参考文献>
広山均『フレーバー おいしさを演出する香りの秘密』 フラグランスジャーナル社 (2005).