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【図解】なぜ濃縮還元ジュースに香料を使う? (初心者向け)

child drinking juice_03

こんにちは、香料業界で10年以上働いているフィグです。

濃縮還元ジュースに香料が使われているのはなぜでしょうか?

それは、濃縮時に飛んでしまった香りを、補うためです。

濃縮しなければ良いと思われるかもしれませんが、濃縮することによるメリットは輸送コストを下げられることです。

フィグ
フィグ

輸送する数量が大きくなればなるほど効果は絶大です。

まずは、濃縮還元ジュースで香料を使うタイミングを見てみましょう。

香料を使う理由

concentration reduction flow

果実を絞ることを搾汁(さくじゅう)と言います。

  1. 搾汁:ブラジルでオレンジを絞ります
  2. 濃縮:ジュースの水分を飛ばします
  3. 輸送:船や飛行機で日本に運びます
  4. 還元:日本で濃縮ジュースに水を加えます

濃縮還元ジュースの場合、濃縮する時に、水分を飛ばすと同時に香りも飛んでしまいます。濃縮されたままの状態で輸送された後に、飛ばした分だけの水を加えて(還元)、ジュースに戻します。

ただ水だけを加えても、香りがないため、元のようなジュースにはなりません。そこで、水を加えるときに香料を加えることによって、失われた香りを補い、元のようなジュースになります

                  

濃縮還元とストレート果汁との比較

route of straight and concentrated juice

濃縮還元の場合は、果実を絞った後に、一度濃縮してから還元しています。

ストレート果汁とは、搾汁後のそのままのジュースです。

フィグ
フィグ

ブラジルで搾汁・濃縮して、日本で還元するイメージです。

濃縮している分、輸送する数量は少なくて済むので、輸送コストを下げることができます

仮の数字を当てはめてみて、どのくらいの金額差があるか比較してみましょう。

 

比較 100kgの輸送コスト

まずは簡単な数字で計算するために、100kgの場合を考えます。

 

ストレート果汁の場合

route of straight juice 100kg cost

100kgのストレート果汁の数量は100kgです。

(果汁の数量)= 100 [kg]

1kgあたりに1,000円の輸送コストがかかり、

(ストレート果汁の輸送コスト)をxとすると

x =(果汁の数量)x(1kgあたりの輸送コスト)
  = 100 [kg]  x  1,000 [円/kg]
  = 100,000 [円]

輸送コストは10万円です。

 

濃縮果汁の場合

route of concentrated juice 100kg cost

果汁100kgに含まれている水分を飛ばし、5倍に濃縮した場合、果汁の数量は

(果汁の数量)= 100 [kg] / 5
       = 20 [kg]

20kgになります。

1kgあたりに1,000円の輸送コストがかかり、
(濃縮果汁の輸送コスト)をyとすると

y =(果汁の数量)x(1kgあたりの輸送コスト)
  = 20 [kg]  x  1,000 [円/kg]
  = 20,000 [円]

輸送コストは2万円です。

よって、輸送コストの差は以下の式で求められます。
(輸送コストの差)=(ストレート果汁の輸送コスト)-(濃縮果汁の輸送コスト)
 = x - y
 = 10万円 - 2万円
 = 8万円

8万円の輸送コストを減らすことができ、減らした分がそのまま利益になります

フィグ
フィグ

水をとばすときにコストはかかりますが、輸送コストを減らす方がメリットは大きいです。

果汁の数量を大きくして考えてみましょう。

 

比較 10トン(10,000kg)の輸送コスト

果汁の数量を100kgの100倍にして、10,000kgの場合を考えます。

 

ストレート果汁

route of straight juice 10000kg cost

10,000kgのストレート果汁の数量は10,000kgです。

(果汁の数量)=10,000 [kg]

1kgあたりに1,000円の輸送コストがかかり、
(ストレート果汁の輸送コスト)をXとすると

X =(果汁の数量)x(1kgあたりの輸送コスト)
  = 10,000 [kg] x 1,000 [円/kg]
  = 10,000,000 [円]

輸送コストは1,000万円です。

 

濃縮果汁の場合

route of concentrated juice 10000kg cost

果汁10,000kgに含まれている水分を飛ばし、5倍に濃縮した場合、果汁の数量は

(果汁の数量)= 10,000 [kg] / 5
       = 2,000 [kg]

2,000kgになります。

1kgあたりに1,000円の輸送コストがかかり、
(濃縮果汁の輸送コスト)をYとすると

Y =(果汁の数量)x(1kgあたりの輸送コスト)
  = 2,000 [kg]  x  1,000 [円/kg]
  = 2,000,000 [円]

輸送コストは200万円です。

輸送コストの差

route of straight and concentrated juice 10000kg cost

輸送コストの差は以下の式で求められます。

(輸送コストの差)=(ストレート果汁の輸送コスト)-(濃縮果汁の輸送コスト)
 = X - Y
 = 1,000万円 - 200万円
 = 800万円

800万円となり、輸送コストを減らすことができます。

別の計算の仕方として、倍率を用いて計算します。

数量を100kgから10,000kgへ変えたので、増加した倍率は

(倍率)= 10,000 kg / 100 kg
    = 100

100倍となります。
輸送コスト差は8万でしたので、倍率をかけると
(10トンの輸送コスト差)= 8万円 x 100
            = 800万円

800万円と算出することもできます。

 

まとめ

  • 濃縮時に飛んでしまった香りを、還元時に香料を加えることで元のようなジュースにする
  • 濃縮による輸送コストが下げられるメリットは大きい

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